The Chronicles of Asahi Press07

ポストモダン叢書

FIRST PUBLISHED IN 1984

いかに「近代」を超えるか。
ドミナントな思考の隙間が一挙に開示する。

思考の布置がすっかりその姿を変えつつある過渡期。しかし、この変遷には目的地もなければ、動きの終結点もありえないだろう。ポストモダンの「ポスト」が含意するのは、新たな物語への期待でもなければ、すべての終わりの自己認識の反復でもありえない。
ドミナントな思考の隙間が一挙に開示するもう一つの形式、身軽な移動の自由と解像力の高度化を併せもつ≪エチカ≫だ。

Archive

  • 明かしえぬ共同体

    • モーリス・ブランショ著
    • 西谷修訳

    〈明かしえぬ共同体〉とは、なんらかの共有意識に支えられるものでもなく、個と全体の弁証法とも無縁な、あの〈外=死〉に触れるコミュニケーションの極限状態である。

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  • 二人であることの病い : パラノイアと言語

    • ジャック・ラカン著
    • 宮本忠雄/関忠盛訳

    比類のない惨劇を引き起こしたパパン姉妹をパラノイアや隣接する諸妄想の構造を規定する「兄弟複合」の延長上で「二人であることの病い」としてとらえ直す。「家族複合の病理」他収録。

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  • 死の病い ; アガタ

    • マルグリット・デュラス著
    • 小林康夫/吉田加南子訳

    夜を買われた女。白いシーツの上。裸で。余す所なく自らを与えながら所有を禁ずる。〈異なるもの〉とは何か? 無防備な性同一性、がその侵しがたい故の侵犯・破壊・暴力を呼び起こす。

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  • 哲学における最近の黙示録的語調について

    • ジャック・デリダ著
    • 白井健三郎訳

    誰もが奥儀伝授者であるとともに啓蒙家である以上、カントもまたある種の〈終り〉を印しづけたのではないか。西欧を支配する終末論と〈光-真理-啓蒙〉への欲望を解体構築する。

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  • 現前とイマージュ

    • イヴ・ボヌフォワ著
    • 阿部良雄/兼子正勝訳

    詩を問い質すこと。詩は言葉の真実として、現前のためのイマージュとの戦いであり、生に与えるべき一つの意味・われわれを励ます声である。ボヌフォワのフォルマリスムへの反措定。

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  • 無為の共同体 : バタイユの恍惚から

    • ジャン=リュック・ナンシー著
    • 西谷修訳

    共同体論が特定の対象を持つ限定された知の記述であるとすれば、ここではむしろ、共同体と呼ばれ、それをめぐって展開される思考を限定してきた〈対象〉の解体が目指されている。

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  • ライプニッツのシステム

    • ミシェル・セール著
    • 竹内信夫[ほか]訳

    根源的絶対的な〈一〉である神は、ここではエネルギーが無限に分散拡大する宇宙である。〈我〉と〈世界〉の生成を〈多〉と〈一〉の無限の変容とするライブニッツの全体像。

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  • ポストモダン通信 : こどもたちへの10の手紙

    • ジャン=フランソワ・リオタール著
    • 管啓次郎訳

    「モダン」を葬らんとする欲望の軌跡は自由な身軽さを獲得することなく、システムの前でその不能を暴かれつつある。テクノロジーとそれを支えとする社会の変質を解く教本。

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  • 自由の新たな空間 : 闘争機械

    • フェリックス・ガタリ/トニ・ネグリ著
    • 丹生谷貴志訳

    歴史を逸脱させるべく、自由の物質的な力への変容=闘争機械が求められている。あらたな結合への運動、言表のアレンジメントの脱-限定的な網目が作動している。

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  • カフカ論 : 「掟の門前」をめぐって

    • ジャック・デリダ著
    • 三浦信孝訳

    カフカ「掟の門前」の解読。このテクストを前にして「われわれ」が暗黙の裡に共有する慣習=約束事の体系を洗い出す作業から小説論の問われることなき前提を暴くスリリングな批評。

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  • 情動の思考 : ロレンス『アポカリプス』を読む

    • ファニー・ドゥルーズ/ジル・ドゥルーズ著
    • 鈴木雅大訳

    形式や構造の問題を超えて力の世界に――人間的認識の条件をめぐる道徳の精神の思考を超えて力としての、生態としての自然の問題に――届かんとする情動的実践+権力論。

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  • ニーチェとメタファー

    • サラ・コフマン著
    • 宇田川博訳

    本来的なもの+非本来的なもの、本来的な表現+隠喩という「対立」の以前に隠喩が「存在」するはずではないか? 他のいかなる表現形式にも還元不可能な様式としての哲学の要請。

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  • 実存から実存者へ

    • エマニュエル・レヴィナス著
    • 西谷修訳

    本書は、ナチスによる五年間の捕囚生活のなかでその大部分が執筆され、1947年に出版された、レヴィナス哲学の原点である。レヴィナスはここに思索=エチカを開始したのである。

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  • ニーチェ

    • ジル・ドゥルーズ著
    • 湯浅博雄訳

    ニーチェの見出したもの、それはなによりもまず「力」である。あるいは力と力の関係である。そして力とは、諸々の差異の戯れ=作動であり、量の違いが演じる遊戯=賭博である。

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  • 倫理と無限 : フィリップ・ネモとの対話

    • エマニュエル・レヴィナス著
    • 原田佳彦訳

    〈他者〉と〈私〉の関係の非対称性、非相互性がもたらす他者への〈責任〉、が存在の匿名で無分別なざわめきをさえぎる。存在に穿たれた傷口が要請する〈倫理〉。

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  • 創造する無意識

    • C.G.ユング著
    • 松代洋一訳

    心理学の課題とは、意識と無意識の対立・総合・超越に潜む芸術作品創造の鍵を見出すことであり、芸術的人間を波頭とする宇宙的な規模の生命発現の構成を明らかにすることである。

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  • 経験の殺戮 : 絵画によるジャック・モノリ論

    • J-F・リオタール著
    • 横張誠訳

    「ハイパー・リアリズム」画家モノリ。この画家の体現する〈経験の殺戮〉とはなにか? 経験の累積、時間の弁証法、「主体」の存立を危うくする匿名の意思を問う。

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  • 白日の狂気

    • モーリス・ブランショ著
    • 田中淳一[ほか]訳

    昼=理性の狂気とは、白日の光として欲望された狂気と、それを求める眼を傷つける白日の光の無限の反復である。ギリシアからヨーロッパへと到来した光それ自体の錯乱の物語。

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  • 藝術家の肖像、一般

    • フィリップ・ラクー=ラバルト著
    • 白井健三郎/守中高明訳

    変装した男の九葉の連作写真(ウルス・リューティ)をもとに、複製・肖像・写真・絵画・同一性、これら20世紀の芸術に固有の問題を気鋭の著者がスリリングに説く。

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  • ロドリゲス島への旅

    • J・M・G・ル=クレジオ著
    • 中地義和訳

    かつての海賊が隠した財宝を求めて、詩人は記憶の内奥へ遡る“巡礼”の旅に出る。ちりばめられた暗号、独特の詩的透明性を帯びた文体が、読む者を無辺際の宇宙へと開く。

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