朝日出版社(旧)経営陣からM&Aについてのご報告と御礼
朝日出版社(旧)経営陣からM&Aについてのご報告と御礼
昨年10月、朝日出版社(および系列のブックマン社)がM&Aにまつわる困難に直面していることを、このサイト上でお知らせいたしました。
それを受け、大変多くの方々が各方面から励ましのお言葉をお寄せくださいました。小社支援のフェアを開催してくださった書店さまもありましたし、いくつかの学会さまが公式サイトに激励の辞を掲載してくださることもありました。従業員それぞれがお取引先などからあたたかい言葉を掛けていただいたことは数知れません。
そうしたことすべてに力を得ながら、粘り強く状況打開に努めてきたわれわれですが、このたび喜ばしいゴールにたどり着いたことをご報告し、みなさまに心よりの御礼を申し上げます。
すでに各メディアの報道でご存じの方もおいでかと思いますが、本年2月14日に完遂された株式譲渡契約により、朝日出版社はNOVAホールディングス株式会社(代表取締役社長:稲吉正樹 本社:東京都品川区 以下、NOVAHD)の100%子会社となりました。
また、2024年9月に当時の小社取締役6名全員が解任されておりましたが、本年2月14日に開催された臨時株主総会において、役員定年を迎えた2名を除く4名全員があらためて取締役に選任されました。執行役員だった1名も新たに取締役に加わっています。
代表取締役会長に稲吉正樹氏が就任したほか、NOVAHDから数名の取締役を迎え入れましたが、小川洋一郎が取締役社長に就き、実務的には従前の経営体制となります。
NOVAという名に、かつて派手な宣伝で知られた会社を思い起こされる方があるかもしれませんが、その「株式会社ノヴァ」は2007年に経営破綻しています。現在の「株式会社NOVA」は、事業譲渡を受けた稲吉氏が再建してNOVAHDグループの中核に位置づけているもので、実態としてかつてのノヴァ社とは別物になっています。
NOVAHDグループは、国内最多教室数の英会話教室をはじめ、校舎数第2位の学習塾など、それぞれが業界最大手となる事業を手がけており、端的にいえば教育総合ホールディングス・カンパニーです。プロバスケットボールのトップリーグチーム「広島ドラゴンフライズ」も傘下に収め、クラブ運営を通して地域貢献もしているとのことで、「関わる全ての方を大切にしたい」という理念を掲げているそうです。
昨年10月のお知らせ当時、買い手とされていた企業とのマッチングの悪さを深く危惧し、われわれは暗たんたる思いを抱いていました。しかし、紆余曲折の末にたどり着いた新しい買い手は大学の語学系教科書を中心に多様な出版を続ける小社にとって最善の相手ともいえ、大きな安堵を抱いています。また、経営の安定とグループ内の協働やコラボレーションに基づく新たな展開の可能性も開け、業務への意欲と希望を新たにすることができています。
前回のお知らせからの4か月の間だけでも、実は本当にいろいろなことがありました。取締役解任の無効を裁判で争う傍ら、水面下では(混乱状況下では金融機関の協力を得にくいため)資金繰りに薄氷を踏む思いをする日々もありました。他の面でも「もうダメか」と思わされたことは一度や二度ではなく、今の着地点に至れたことは奇跡のようだと関係者一同が口にするほどです。
その奇跡の陰にはもちろん多くの方のお力添えがあったのですが、最大の功労者というべき方のおひとりは、間違いなく河合弘之先生(さくら共同法律事務所)です。河合先生は毀誉褒貶ある著名な弁護士ですが、大半の弁護士が(株式譲渡前の)100%株主のご意向に背いて争っても勝ち目はないと語る中、会社は株主だけのものではなくステークホルダー全体のものだとして引き受けてくださいました。国内最大のM&A仲介会社である日本M&Aセンターに紹介し、結果的にNOVAHDにつないでくださったのも河合先生です。ここに記して謝意を表します。
そのほかの方々については逐一お名前を挙げることはいたしませんが、本当に多くの方々にお世話になりました。心より御礼申し上げます。
そして、次の謝辞も前回と同じ強い思いで記させていただきます。
著者・翻訳者の方々や教科書採用してくださっている先生方、小社の書籍や雑誌を手に取ってくださる読者のみなさま、印刷・製本・用紙などの業者の方々やDTP・校正・校閲・デザイン・写真・イラスト・録音などで本づくりを支えてくださる方々、さらには小社刊行物を読者に手渡してくださる書店のみなさま、その書店と出版社とをつなぐ取次会社の方々――そうしたみなさまにはご心配をおかけしましたこと深くお詫びするとともに、変わらぬご理解とご支援を賜りましたこと、深く深く感謝いたしております。ありがとうございました。
最後に、従業員のみなさまへ。経営の問題で混乱が生じ、各種の圧力もかかる中、動じる思いを隠して変わりなく業務を続けていただけたことに感謝いたします。みなさまの支えなくして今日を迎えることはありませんでした。ありがとうございます。
2025年2月19日
前常務取締役(役員定年で退任)・小野田輝夫
前常務取締役(現常務取締役)・中西 陸夫
前常務取締役(現常務取締役)・津金 秀和
前常務取締役(役員定年で退任)・菅沼 通根
前常務取締役(現常務取締役)・山田 敏之
(注記:われわれが提起した訴訟は、M&A完遂後にすべて取り下げました)