玉村豊男のポテトブック

  • 玉村豊男のポテトブック
    玉村豊男のポテトブック
判型:B5判変型 / ページ数:128ページ / ISBN:9784255013442 / Cコード: / 発売日:2023/09/23

玉村豊男のポテトブック

玉村豊男 定価: 1,980円(本体1,800円+税)

在庫: 在庫あり

ジャガイモをめぐる知的冒険

◎各メディアでご紹介いただきました◎

「単なるレシピ集ではなく、人物やエピソードを交えた物語になっているところが秀逸。(……)読むだけでおいしく、お腹も一杯になる。小ぶりの本なのに”ジャガイモ大全”の風格あり。」
ーー福岡伸一さん(『AERA』 2023年12月4日号)

「167年前の英国と、その40年後の米国で出版された本のレシピを比べた後は「戦争とマックで世界に広がった」という考察につながっていく。(……)料理本? エッセイ? ジャンルに収まらない本だ。」
ーー信濃毎日新聞 2023年10月7日

「ポテトをめぐる青年時代の海外での思い出、ポテトチップス発祥の考察、インカ帝国での栽培・保存の知恵など、話題は古今東西を駆ける。写真なしで紹介されるレシピはかえって想像をかき立てられる。」
ーー北海道新聞 2023年12月3日

「フライドポテトはなぜ「フレンチフライ」と呼ばれるのか等、情報は先達より多面的。軽妙洒脱な文章とともに楽しみたい」
ーー藤澤志穂子さん(『週刊金曜日』 2023年12月8日号)


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「ポテトチップスはクレームから生まれた?」
「フレンチフライは戦争とマックで世界に広がった?」
「ジョエル・ロブションの、世界一のマッシュポテトの作り方とは?」

ジャガイモの起源から歴史、食文化、料理法など、ユーモアあふれる文章で、徹底的に思考した一冊。美しいイラストレーションで繰り広げられる、レシピ本でも、エッセイ集でもない、読んで美味しい、見て楽しい、まるごとポテトブック!

目次

はじめに 伊丹十三さんの思い出

[ポテトをめぐる物語]
夜のカフェで/ミスター・リーズのサンドイッチ/新大陸の贈りもの/不謹慎な植物/
戦乱と飢饉のヨーロッパ/タラとジャガイモの出会い/ジャガイモの食べ方/郷愁のブランダード/
海を泳ぐ黄金/ニューファンドランド/スープの語源/失われたパン/土のないジャガイモ畑/
イモに月が出ている/アイリッシュ・シチュー/ジャガイモ掘り 

[ジャガイモという不思議な植物]
コモンポテト/ノアの箱舟/ジャガイモ博士に聞く/インカ帝国の知恵
 
[ポテトの料理法]
ポテトチップス/フレンチフライ/ベークドポテト/ローストポテト/ハッシュブラウン/
マッシュポテト/ポテトサラダ

コラム <ミスター・リーズのサンドイッチ><夜のカフェで><ジャガイモ掘り>
<料理の四面体><和食とジャガイモ>

おわりに 家庭菜園からの報告

著者紹介

  • 玉村豊男
    1945年東京都生まれ。エッセイスト、画家。東京大学文学部仏文学科卒業。在学中、パリ大学言語学研究所に留学。帰国後、通訳、翻訳業を経て、エッセイストの道へ。1991年長野県東御市に転居、2003年「ヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー」開業。『パリ 旅の雑学ノート』『料理の四面体』など、著書多数。
    玉村豊男 HP

はじめに 伊丹十三さんの思い出

この本は、1976年に発行された、伊丹十三さんの『ポテト・ブック』(ブックマン社)の後を継ぐものです。伊丹さんの本はマーナ・デイヴィスというアメリカ女性が書いた本を軽妙な文章で翻訳したものですが、私の本は自分で書きました。が、レシピをたくさん載せているけれどもいっさい料理の写真がないこと、そのかわり人気イラストレーターの作品をたくさん載せているところなどは、先輩の本のつくりかたを継承しています。

伊丹十三さんは、俳優であり、エッセイストであり、映画監督としても『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』などの作品を遺し、イラストも描き、料理通でもあった、多岐にわたる才能に溢れた趣味人でした。1997年に64歳で亡くなったので、いまの若い人たちの中には知らない人もいるかもしれませんが、日本にいち早くヨーロッパ式のライフスタイルを、みずから実践しながら紹介した人でもありました。

伊丹さんとは、彼が雑誌『モノンクル』の編集長をしていたときに会いました。私はその雑誌に「TOKIO不思議ガイド」という連載を書き、それ以来、個人的にも親しくなりました。あるとき、用事はないのに、突然電話をもらったことがあります。

「タマムラさん、ぼくたちカタストロフィー症候群だね」

精神分析にも詳しかった伊丹さんは、最近そんな言葉を知ったというのです。いったんなにかに夢中になると、そのことばかりに没頭して、寝ても覚めてもそのことを考える。でも、いつかは終わりがやってきて、ある瞬間から憑きものが落ちたようにケロッと忘れてしまう……言われてみれば、たしかにその通りです。先輩に同類と認められたのはうれしいけれど、果たしてその性癖はよいものかどうか。

この本を書くと決めてから、資料を集め、レシピを調べ、ジャガイモの専門家に話を聞き……原稿を書きはじめてからは、ほかの仕事は放り出し、文字通り寝る間も惜しんで机に向かいました。朝から晩まで、なにをしていてもジャガイモのことを考えている。まさに破局に向かって一直線……。

ですが、幸い、まだカタストロフィーの瞬間は訪れていません。本を書き終わってからも、家庭菜園で採れたジャガイモを、毎日あれこれ考えながら、料理しています。

ジャガイモは奥深い。食べれば尽きない滋味がある。調べればどんどん分からないことが増えてくる。みなさんも、ジャガイモに夢中になってみませんか。

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