断片的なものの社会学

紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞!
  • 断片的なものの社会学
    断片的なものの社会学
判型:四六判正寸(鈴木成一デザイン室) / ページ数:244ページ / ISBN:9784255008516 / Cコード:0095 / 発売日:2015/05/30

断片的なものの社会学

岸政彦 定価: 1,716円(本体1,560円+税)

在庫: 在庫あり

紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞!

路上のギター弾き、夜の仕事、元ヤクザ……
人の語りを聞くということは、ある人生のなかに入っていくということ。
社会学者が実際に出会った「解釈できない出来事」をめぐるエッセイ。

◆「この本は何も教えてはくれない。
  ただ深く豊かに惑うだけだ。
  そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。
  小石や犬のように。
  私はこの本を必要としている。」

一生に一度はこういう本を書いてみたいと感じるような書でした。
ランダムに何度でも読み返す本となりそうです。
――星野智幸さん

どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、
その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、
胸をかきむしられるような気持ちになる。梅田の繁華街で
すれちがう厖大な数の人びとが、それぞれに「何事もない、普通の」
物語を生きている。
 * * *
小石も、ブログも、犬の死も、すぐに私の解釈や理解をすり抜けてしまう。
それらはただそこにある。[…]社会学者としては失格かもしれないが、
いつかそうした「分析できないもの」ばかりを集めた本を書きたいと思っていた。(本文より)

特設ページ

目次

イントロダクション──分析されざるものたち

人生は、断片的なものが集まってできている
誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない
土偶と植木鉢
物語の外から
路上のカーネギーホール
出ていくことと帰ること
笑いと自由                   
手のひらのスイッチ
他人の手
ユッカに流れる時間
夜行バスの電話
普通であることへの意志
祝祭とためらい
自分を差し出す
海の向こうから
時計を捨て、犬と約束する
物語の欠片

あとがき

著者紹介

  • 岸政彦(きし・まさひこ)
    一九六七年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院文学研究科教授。著書に『同化と他者化』(ナカニシヤ出版)、『街の人生』(勁草書房)、『ビニール傘』(新潮社)、『はじめての沖縄』(新曜社)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房)、『図書室』、『リリアン』、『にがにが日記』(以上、新潮社)、共著に『質的社会調査の方法』(有斐閣)、『地元を生きる』(ナカニシヤ出版)、『大阪』(河出文庫)、編著に『東京の生活史』(筑摩書房)、『生活史論集』(ナカニシヤ出版)、『大阪の生活史』(筑摩書房)、監修に『沖縄の生活史』(みすず書房)などがある。本書で紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞。『リリアン』で第38回織田作之助賞受賞。『東京の生活史』で紀伊國屋じんぶん大賞2022受賞、第76回毎日出版文化賞受賞。

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