自殺

第30回(2014年)講談社エッセイ賞受賞
  • 自殺
    自殺
判型:四六判 / ページ数:360ページ / ISBN:9784255007502 / Cコード:0095 / 発売日:2013/10/31

自殺

末井昭 定価: 1,760円(本体1,600円+税)

在庫: 在庫あり

母親のダイナマイト心中から約60年――衝撃の半生と自殺者への想い、「悼む」ということ。伝説の編集者がひょうひょうと丸裸で綴る。笑って脱力して、きっと死ぬのがバカらしくなります。

「キレイゴトじゃない言葉が足元から響いて、おなかを下から支えてくれる。また明日もうちょっと先まで読もうときっと思う」――いとうせいこうさん
「優しい末井さんが優しく語る自殺の本」――西原理恵子さん
大人気連載、ついに書籍化!

書評



キレイゴトじゃない言葉が足元から響いて、おなかを下から支えてくれる。また明日もうちょっと先まで読もうときっと思う。




いとうせいこうさん




自殺を美化するのでもない。非難するのでもない。社会からはみ出し、孤立し、追い詰められる人々に著者は温かく寄りそう。自殺について書く、というほぼ不可能なチャレンジに成功している。さまざまな人物との出会いが、ありえないほど面白い。自殺をめぐる彼らとのインタヴューのさりげないやりとりが、ハッとするような深淵と背中合わせになっている。《生きづらさを感じている人こそ、社会にとって必要な人です。…迷っているのでしたら、どうか死なないでください。そこまで自分を追い込んだらもう充分です。…それでも自殺を思い留まることができなかったら、とりあえず明日まで待ってください》。このメッセージが届くべき人のところに届くことを、切に願う。




橋爪大三郎さん(読売新聞書評)




心に何度も響いて、ここは笑うところじゃない、不謹慎だと思いながら、また笑ってしまうのだった。奇妙にほのぼのとしながら、同時に圧倒される。母への悼み、母を愛した子としての哀しみ、そして六十五歳になった自身の生への感謝と肯定。わが身を削って伝授する「生きる技術」、それが笑いなのだ。とてもじゃないが笑ってはいられない過去を、迷いもなく「おもしろい」と言わせるところに著者の破格の魅力と説得力がある。自殺を選ぼうとする人々に向けて、著者は懸命に手を差しのべる。美化もせず、責めもせず、否定もせず、ひたすら寄り添おうとする態度の公正さ、率直さ。そして無類の優しさ。末井昭の文章には借り物の言葉がない。ほかの誰にも表し得ない等身大の言葉が、腹に響く。




平松洋子さん(「東京人」書評)




末井さんは太宰以上に老獪なテクニックをもって、自分の人生を読み手に共感させてしまう。〔…〕相手の心にぐんぐんと入ってくるのである。描かれたエピソードもどれも魅力的だ。おかしくてせつない。〔…〕これは一見「自殺をするな」というしおらしい啓蒙書のようであるがそうではない。堂々たる人間賛歌、自己肯定の本である。読み終った後、「いやあ、まいりました」とつぶやいていた。




林真理子さん




お母さんの自殺のみならず、どんな人の自殺に対しても、末井さんの接し方は平等なのです。自殺と自殺者を決して見下さずにおずおずと近づき、正論では救い切れない人間の業を見る。〔…〕自殺を考えていない人にとって、この本は「どう死ぬか」と「どう生きるか」を考えるきっかけとなります。人生のあちこちで自殺と出会ってきた稀有な有資格者による、これは稀有な人生読本なのだと私は思います。




酒井順子さん




自殺について語るには資格が要る。〔…〕その有資格者が、この本は、「笑える自殺の本にしよう」と考えた。その考えは見事に成功している。有資格者でなければ据えることのできない視点がそこここに見える。




東海林さだおさん




タイトルからしてただならぬこの本は、のっけからもうただならなさが全開です。〔…〕でもどうしてなのでしょう、読むほどに、まるで膝を後ろからカックンされたような、ほのぼのとした脱力感に、心が温められていきます。〔…〕上から教え諭すのではない、どこまでも率直な末井さんの言葉には、それゆえ何かを変える力があります。卑猥な単語もいっぱい出てくるのに、何か仏様の言葉のように尊いのです。自殺したいと思っている人も、そうでない人も、一人でも多くの人にこの本をよんでほしい。心の底からそう思います。




岸本佐知子さん




濃すぎるエピソードの連続で、ぬるま湯風人生の私などは知恵熱が出そうでした。死ぬつもりがない人にも読んどいてもらいたい一冊です。




鈴田さん(あおい書店池尻大橋店)




現代の『堕落論』的なものを感じました。『自殺』というタイトルからは縁遠いですが、この本を一種の自己啓発本として読むことも十分可能です。




鈴木慎二さん(国分寺・BOOKS隆文堂)




ユーモアたっぷりで正直で、ていねいに語りかけてくれる末井さんの言葉が染み入ります。心にすーっと風が吹いて、ほんのり温かくなって明日もなんとかなるって思えました。




大石麻未さん(紀伊國屋書店丸亀店)




私にとって末井さんはずい分長い間「パチンコ必勝ガイド」の編集長で、女装をする変なおじさんでしかなかった。だから知らなかった。末井さんのお母さんがダイナマイトで自殺していたなんて。雑誌で見る末井さんも、 TVで見る末井さんもいつもおだやかで大好きだけれど、末井さんの書く「文章」は自殺について書いていてもやっぱりおだやかで優しかった。末井さんの文章は〈誰かに届く言葉〉だと思う。本当に偉い人は偉ぶらないのだと末井さんを見ているといつも感じるけれど、本当に辛いこと、苦しいこと、人生の、生の底辺で見てきた末井さんだからこそ持つことのできる、優しさにあふれた文章が読む人に必ず届くだろう。そうに違いない。届かないわけがない。そしてこの本を書店員として一冊でも自分の手で売れることを、とても、とてもうれしく思います。




櫻井美怜さん(青森・成田本店みなと高台店)




一気に読みました。人は道に迷い、過ちを犯し、シンプルに生きたいと思っても、複雑で思いもしない人生を送るのではないでしょうか。それは、私も実感しています。しかしながら、「世間」という非常識な良識は、昨今どんどん力を増し、この世から愚純で不慣れな人間を、あっさりといとも簡単に糾弾し、排除する。その風潮の中でこのような本が読まれ、本屋の店頭に並べられることは、書店人として社会に対するささやかなメッセージではないかと思っています。




新山博之さん(高知・金高堂)




気になるタイトルだったので、すぐに読みました。イメージとは少しちがって、文章はとても丁寧で読みやすかったのですが、内容は仰天エピソードが多く、何度もビックリしました。「死ぬ権利」を認めるか、認めないかはとても難しくてデリケートな問題だと思います。昔、私が尊敬している人が「自分は(病気があって)長く生きられないのに、どうして死のうとなんかするんだよ」とくやしそうに、残念そうに言ったのを見て、「あぁ、自殺はダメなことなんだ」と心から思いました。基本はそうなのですが、やむにやまれぬ事情が背景に見えたりすると、仕方ないかなぁと思ったりする自分もいます。今回これを読んで、自殺って病気の一種(心の病)なのかなぁ、とか、海外はどうなのかなぁとか、専門的に学問として研究されてもいいんじゃないかなぁなんて思ったりしました。いろいろ考えるきっかけをありがとうございました。




種畑広美さん(くまざわ書店アリオ札幌店)




ぶっとんでいながらも、優しい不思議なユーモアにつつまれた『自殺』には、それでも噛み切れない『種』のようなものがある。その『種』に読者の歯が触れたとき、この本の素晴らしさがわかる。『明日も生きてみてもいいのかもしれないな』と、きっと思う。




小国貴司さん(リブロ池袋本店)




ネガティブな概念の親玉とでも言うべき「自殺」について、徹底的にポジティブに迫った快著。「自殺」を考えることが「死」そのものを捉えなおすことになり、あるべき「生」に光があたる。その過程で「性愛」に直面するあたりが、末井さんの真骨頂。他者とのコミュニケーションに漠然とした息苦しさを覚える人(今の世の中のほとんどの人!)に読んでもらいたい。ここにあるメッセージは、「自殺ダメ!」ではない。「自殺を考えちゃう自分も愛してあげて」という末井さんならではの「優しい世の中」の提案だ。諸手を挙げて共感します。




花本武さん(吉祥寺ブックス・ルーエ)




人生の危険水域に、満面の優しさで対峙するスエイさんに滂沱。本当に素敵な人は自分自身でいることを恐れない。人生は、決して捨てたもんじゃない。この本は、きっとあなたの希望になる。




藤本裕二さん(あゆみブックス五反田店)




過去の私と今の私と、それから、これから生きていく私が必要としている言葉を受け取りました。末井さんの優しさと弱さがとても愛おしく、温かい。(P.257の美子さんの置き手紙を、私は今、関わっている男性に読ませたい。なんて良い、本当に泣くような叫ぶような切実さと誠実の、良い手紙でした。)











目次

まえがき 
地震と自殺
母の自殺
いじめと自殺 
世間サマと自殺 
観光気分で被災地巡礼 
残された者 
抗議の自殺 
眠れない夜 
お金と自殺 
二人のホームレス 
秋田県の憂鬱 
樹海探索 
うつと自殺 
慈しみの眼差し 
聖書との出会い 
緩慢な自殺 
病気と自殺 
迷っている人へ 
あとがき 

著者紹介

  • 末井昭(すえい あきら)
    一九四八年、岡山県生まれ。
    工員、キャバレーの看板描き、イラストレーターなどを経て、セルフ出版(現・白夜書房)の設立に参加。
    『ウィークエンドスーパー』、『写真時代』、『パチンコ必勝ガイド』などの雑誌を創刊。二〇一二年に白夜書房を退社、現在はフリーで編集、執筆活動を行う。
    主な著書に『素敵なダイナマイトスキャンダル』(北栄社/角川文庫/ちくま文庫/二〇一三年に復刊ドットコムから刊行予定)、『絶対毎日スエイ日記』(アートン)、『純粋力』(ビジネス社)、『天才アラーキーの良き時代』(編集、荒木経惟氏著、バジリコ)、『パチンコからはじまる○×△な話』(山崎一夫氏、西原理恵子氏との共著、主婦の友社)がある。
    平成歌謡バンド・ペーソスのテナー・サックスを担当。 ◆Twitter

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